新しいスペースシャトルが飛んでいく。従来のスペースシャトルとはまったく異なる発想でそのスペースシャトルは造られた。昔のものは「ひたすら水素の燃料を燃やして力ずくでも宇宙へ行くぞ!」というコンセプトの基に造られていた。しかしこの新しいスペースシャトルは単にスペースシャトルの属するガリレオ座標を地球の座標から解放してやることで重力に打ち勝つのだ。必要なのははじめに座標をずらすためのインパクトだけだった。あとは自然にどこまでも飛んでいくのだ。僕は無音で空の彼方へ雄大に流れずらされていく巨大なスペースシャトルを眺めた。その巨大な質量が重力から解放され空に描いた曲線は美しかった。そのスペースシャトルには一人の老人が乗っている。僕は彼のことを思い浮かべた。彼が子供のように眠っているのが見えた。スペースシャトルにはじめのインパクトを与える装置が燃えていたが、たくさんのスタッフがハイテクの消火器で迅速に炎を処理した。それを見て僕は老人のことをうらやましいと思った。たくさんの人間がそれに携わり築かれたその人類の希望は彼だけが体験することができる。僕は再び老人を思い浮かべようとしたが、超高速で宇宙を滑っていくスペースシャトルに僕のイマジネーションはなかなか追いつくことができなかった。僕のイマジネーションは真空を旅し、地上に残された僕の肉体は抜け殻となった。立ち尽くす僕の目の前にハリウッド風ジャーナリストが現れこう言った。
「人々が地球の未来を思い描けるように僕は写真を撮りたいのです。」
僕は始めてジャーナリストという人に好感を抱き、彼らの仕事を理解した。
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